2014年の夏、JICA青年海外協力隊としてエルサルバドルに赴任していた友人を訪ねた。せっかくなので観光もしようと、遺跡を回ることにした。エルサルバドルに来るのは初めてで、遺跡があることも正直あまり知らなかった。
ホヤ・デ・セレン — 中米のポンペイ
まず訪れたのがホヤ・デ・セレン(Joya de Cerén)。ユネスコ世界遺産に登録されているマヤの農村遺跡だ。
約1400年前、近くのロマ・カルデラ火山が噴火した。噴き出した火山灰がこの村を瞬時に覆い、家屋や食料、生活道具がそのままの状態で埋まった。人骨は発見されていないことから、住民は噴火前に避難できたと考えられている。この保存状態の良さから「中米のポンペイ」と呼ばれる。
発掘された家屋は屋根付きの構造物で保護されており、中に入って見学できる。石と泥で作られた壁、かまどの跡、食料を保管していたとみられる土器——1400年前の台所がそこにある。現地のガイドに「特に説明はない」と言われた遺跡だったが、実物を目にすると全く違う感触だった。
タスマル遺跡
続いて向かったのがタスマル(Tazumal)。エルサルバドル最大のマヤ遺跡で、チャルチュアパという町の中にある。
メインのピラミッドは高さ約24メートル。エルサルバドルの学校教科書にも載っている有名な遺跡だが、日本人旅行者は珍しいらしく、敷地内でローカルの人たちに声をかけられ、一緒に写真を撮った。
雨が降り出した。雨具を持っていなかった同行者は急きょポンチョを買い、緑色のポンチョをまとって遺跡の前に立っていた。遺跡もあって、雨もあって、なんとなくそれが中米っぽい一枚だった。
カサ・ブランカ遺跡公園
タスマルからほど近い場所にカサ・ブランカ(Casa Blanca)がある。タスマルほど知名度はないが、こちらも整備された遺跡公園だ。芝生が広がる敷地に草で覆われた塚状のピラミッドが点在している。
エルサルバドルに遺跡があることを、行くまで知らなかった。ホヤ・デ・セレンは世界遺産なのに日本ではほとんど知られていない。中米の奥行きをあらためて感じた。